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2007年10月 2日 (火)

逆さまのピラミッド

先週の日曜日の夕方、岡山で教団の壮年協議会主催の講演会が行われた。講師は林晏久師で、林先生は猛烈商社マンであったが、43才のときクリスチャンになり、54才のとき献身し牧師になり今年まで奉仕してこられたが、引退され現在ウイナーズクラブをいう働きをされている。

Sonenaki

先生のお話は、会社勤めを長年経験された方ならではのもので、サラリーマンの私にも非常に身につまされるお話だった。今の企業では人事評価制度はアメリカから入ってきた目標管理が一般的になってきており、先生も目標管理で追い立てられた経験を語ってくださった。目標管理とは会社全体の年度計画にしたがって、各部門が目標を立て、それを課、係にブレークダウンし、それに従って個人がそれぞれの目標を立てて、その達成状況にしたがって人事評価されるというもので、その評価の際は上司と本人が面談して、目標達成率にしたがって採点され、それが収入に反映されるというものだ。

先生はこの世の男性は進化論に象徴される競争社会に生きていると言われ、これは全く日本の男性、いや子供も含めた日本人の置かれた状況を的確に捉えたものだ。私たちは学齢に達すると、否応なく競争の中に置かれ、優勝劣敗の世界の中に生きることになる。そして多くの人はより豊かな生活と高い地位を求めて、勉強に仕事にがんばることになる。林先生もその熾烈な競争社会を生き抜いて来られたが、子供さんを教会に送るために教会に通ううちに、次第にこの世と異なる世界に惹かれて行き、神に出会う体験をする。その後さらに自分の罪に気づき救われる体験をされた。

この世は「あなたがたも知っているとおり、異邦人の支配者たちは彼らを支配し、偉い人たちは彼らの上に権力をふるいます。」(マタイ20:25)という世界であり、そこでは人間の目標は、上昇志向、成功志向、権力志向、勝利追及である。しかしイエスはこう言われる。「 あなたがたの間では、そうではありません。あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、みなに仕える者になりなさい。 あなたがたの間で人の先に立ちたいと思う者は、あなたがたのしもべになりなさい。 人の子が来たのが、仕えられるためではなく、かえって仕えるためであり、また、多くの人のための、贖いの代価として、自分のいのちを与えるためであるのと同じです。」(マタイ20:26~28)

私たちが生きているのは偉い人が上に立ち下の人間を支配する、上に頂点があるピラミッドの社会である。ところがイエスが教えられた神の国の秩序は下に底点がある逆さまのピラミッドである。イエスは弟子たちの足を洗われて、そのことの模範を示されたのである。林先生は私たちの生き方はこの世とは違い、「神の側に立つ」、「仕える者になる」、「思い切って損をする」、「相手を変えるのではなく自分が変わる」ものであると教えられた。このような生き方をする者はキリストの香りを放つ者となり、まわりに影響を及ぼして行き、その生き方を生む逆ピラミッドの世界が人々を引きつけて行くのだと思う。

このように私たちはこの世の、「上って行く」道ではなく、ヘンリ・ナーウェンが言う「下りて行く」道を歩むのが、キリスト者の在り方(being)であることを思わされる。しかしキリスト教会の中にも教会成長や伝道の名の下、この世のやり方が混入し、その結果「信仰という名の虐待」やさらには逆さまのピラミッドとは正反対の「カルト化」までが生じてしまった例も残念ながら起こっているようだ。最近もてはやされている「目的主導」ムーブメントも、目標管理やマーケティングなどの現代の企業経営の手法を教会運営に持ち込んだもののようにも見えて、日々会社で目標管理に追われている者にとってはどうもアレルギーを感じてしまう。工藤信夫氏が「これからのキリスト教」で提言されていることも、たぶん林先生が言われていることにも通じているのだろう。

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